コンテンツクリエーターのソーシャルセリング

一般的に知られているインフルエンサーとは、ソーシャルメディア上で多くのフォロワーを持つ人物です。しかし、その人物がフォロワーの行動を刺激できなければ、単なるインフルエンサーなのです。そのような人物には影響力がありません。

インフルエンサーマーケティング界のロゼッタストーン、つまりインフルエンサーが実際に影響力があるかどうかを分析する鍵となるものは何かを、私たちの多くが長い間把握できませんでした。提携するクリエイターに真の影響力を見出しているであろうブランドは、多くの場合、偶然上手く行っているように見えます。

しかし、真の影響力を持つクリエイター探しは偶然である必要はありません。 実際、真に影響力のあるインフルエンサーを特定するための秘訣は、ずっと私たちの目の前にあったのです。

説得力の6原則

アメリカの社会心理学者Robert Cialdini博士は、1984年にインフルエンサーマーケティングに通じる歴史的名著の1つを執筆しました。その本を読んだ方もおられるのではないでしょうか。インフルエンサーマーケティングには、非常に長い歴史があります。 私たちがインフルエンサーマーケティングと呼んでいなかっただけで、ソーシャルメディアは現代のインフルエンサーマーケティングが実施されるチャネルにすぎません。

当時出版された、人の行動が何によって影響されるかに関する彼の代表的な著書は、驚くことに『影響力の武器』でした。 全世界で500万部以上を売り上げています。 最新版は昨年発売され、現在アマゾンでマーケティング書籍のベストセラー第2位にランクインしています。

その著書で、Cialdini博士は、人が影響を受けるには6つの法則(最新版では7つに修正)があることを明らかにしました。その法則は次のとおりです:

  • 返報
  • 希少性
  • 権限
  • 一貫性
  • 好意
  • 合意(新装版では「社会的証明」)
  • 一体性(新装版『影響力の武器』で追加)

そして、先ほど紹介した真の影響力を発揮するものがあります。

説得力の原則で真の影響力を見極める方法

インフルエンサーマーケティング担当者としてチャルディーニの原則を適用すると、特定のオンラインインフルエンサーがオーディエンスに行動を起こす説得力を持っているかをすぐに判断できます。拙著『Winfluence - Reframing Influencer Marketing to Ignite Your Brand』では、Ariiの物語が紹介されています。 彼女は17歳のファッションインフルエンサーで、2017年時点で200万人以上のフォロワーがいます。彼女は起業家精神を発揮して、衣料品のラインを立ち上げることにしました。その後、Ariiがファンに向けて、誰も彼女の商品を買ってくれないという嘆きの投稿をしたことは有名です。

私は、チャルディーニの説得力の原則を使って、ローンチに至るまでの彼女のコンテンツと行動を振り返り、なぜ彼女がインフルエンサーでありながら影響力がないのかを調べました。

また、インフルエンサーマーケティング活動のために選んだインフルエンサーに対しても、この原則を当てはめて影響力を見極めることができます。

こちらでは、各原則と、インフルエンサーの候補者に真の影響力があるかどうかを判断する方法をご紹介します。

返報

返報性を簡単に言うと、インフルエンサーは得るためにオーディエンスに与えるのか、コンテンツでオーディエンスに価値を提供しているのか、ファンからのフィードバックや意見に応えているか、自身のコンテンツでオーディエンスに元気を与えているかということです。明らかな方法で自分自身だけに専念している人は、フォロワー数に関係なく、影響力が低い可能性があります。

希少性

インフルエンサーが製品やサービスを宣伝するとき、希少性の原理を利用して、フォロワーの「すぐ手に入れたい」という気持ちを生み出しているでしょうか?または、最も活動的なファンを選び、見返りとして限定コンテンツやインタラクションで特定数のファンにのみ報酬を与えているでしょうか?もしインフルエンサーが上記のことを行なっている場合、オーディエンスを上手く誘導してコンテンツに反応させる方法を理解しています。

権限

権威とは、インフルエンサーがフォロワーだけでなく、同じ業界の他の人たちからも権威ある人として見られているか、イベントで講演しているか、ポッドキャストに出演しているか、従来のメディアでインタビューや引用されているかを指します。自称「専門家」は、通常、他人からそのように呼ばれている人ではありません。権威のある人物を選ぶ方が良いでしょう。

一貫性

そのインフルエンサーはオーディエンスに行動を起こさせるための行動パターンを持っていたり、あるいはフォロワーに定期的にウェブサイトへのアクセスやコンテンツのダウンロード、製品の購入をお願いしているでしょうか?これらの投稿に対するエンゲージメントはどのようなものでしょうか?エンゲージメントが良く、ある程度の一貫性を持って行っている場合、オーディエンスからの反応は高くなります。

好意

調査によると、寄付金のお願いをした人のことをよく知っているオーディエンスは、それに前向きな反応を示す可能性が高くなります。インフルエンサーは、オーディエンスに対して自分自身をありのままに明らかにしているでしょうか?オーディエンスは内容を超えてその人物についてよく知っていればいるほど、好感度が高まり、説得力が増します。

社会的証明

コンセンサス、または社会的証明は、次の2点で判断するのが最も適切でしょう。インフルエンサーのコンテンツに反応する人の数(エンゲージメント率)と、他の影響力のある人たちがそのインフルエンサーを影響力があると考えているかどうかです。権威と同様に、他の人がこのインフルエンサーのことをよく思っているかという検証を行います。

一体性

新装版『影響力の武器』のチャルディーニの原則で追加された一体性は、オーディエンスが帰属意識を共有する相手やインフルエンサーから影響を受けやすいことを指します。インフルエンサーは、自身のオーディエンスが「同志」であると話しているか、自分たちのファンが他の人よりも大切な存在だとよく説明しているか、このインフルエンサーは、BLM(人種差別抗議運動)サポーターと自負していたり、LGBTQの支持者、あるいはレイカーズのファンなど、さらに大きな活動を巻き起こす人物であるかなどです。何らかの大きな原則を通じてオーディエンスと深いつながりを持つ人物は、オーディエンスを行動に移すことができる可能性が高くなります。

説得力の原則を提携インフルエンサーに当てはめる

説得力の原則が分かったところで、実践しなければなりません。 (そう簡単にできるものではありません)時間をかけてインフルエンサーのフィードのコンテンツとコメント欄を確認します。各原則が当てはまっているかを探します。

説得力の原則のうち、2つまたは3つ以上が明らかに当てはまる場合は、おそらく提携する価値のある影響力を持つインフルエンサーであると考えられます。原則が多ければ多いほど、または原則がより明確であればあるほど、ブランドとの提携先としてインフルエンサーを選ぶ際に確信を持つことができます。

Jason Fallsは、Taggerのコンテンツパートナーおよびゲスト寄稿者です。また、次の本を執筆しました: Winfluence – Reframing Influencer Marketing to Ignite Your Brand(ウィンフルエンス:インフルエンサーマーケティングを再構築してブランドを活性化) 次のポッドキャストを主催しています: Winfluence – The Influence Marketing Podcast(ウィンフルエンス:インフルエンサーマーケティングポッドキャスト).